2019年10月1日、当社にとって初めての自社製品となるAI学習キット「オリジナルJetbot」を発売いたしました。
AI学習教材の現状と課題
2019年3月に米国NVIDIA社から発表されたAI自動運転カー学習キット「Jetbot」は世界的に注目を浴びており、国内でも活用事例の報告が始まっています。しかしその製作には3Dプリンタを長時間占有してシャーシを造形する必要があり、非常に高コストかつ実施が難しいという課題がありました。
代替としてアルミ板などで組み立てるキットも発表されていますが、多数のネジ止めを行う必要があり組み立てが難しいだけでなく、熟練度によって作業時間が大幅に異なるため、幅広い層の受講者を対象としながら時間の制約を受ける教材としての利用が難しいものでした。
一方、完成品のAI学習キットは教材として利用しやすいものですが、「ものづくり」の要素に欠けるため十分な学習機会を提供することができず、日本が直面するものづくり技術者の不足という課題に向き合ったものではありませんでした。
そこで当社では、ネジ回しをほとんど使用せず(モーター取り付け時のみ使用)3Dプリントで作成された部材をプラモデルのように組み立て、コネクタを挿入するだけでAI学習をスタートすることができる「AI自動運転カー学習キット」を開発いたしました。これにより学習者に「ものづくり」の楽しさを体験させながら、本題であるAI学習の時間を十分確保することが可能となります。
AI学習キットの特徴
- デファクトスタンダード「Jetbot」に準拠
- 米国NVIDIA社から提供されているJetbotに準拠しつつ、国内で入手可能かつ組み立てが簡単な部品を採用しました。また、実際にJetbotを教材として利用する際に発生する諸問題への対応も行っております。これにより発生するアプリケーションの修正についてはグリーンノートよりツールを提供いたします。
- 組み立て時間の平準化による学習時間の確保
- プラモデル感覚で簡単に組み立てられるため、学習者ごとの習熟度の違いによる作業時間のばらつきを最小限に留めることができます。これにより、貴重な学習時間を本題であるAI学習に最大限割り当てることが可能となります。
- 拡張性を活かした高度な学習への展開
- センサーやLEDなどを搭載することでAI + IoT学習教材へと容易に拡張することができます。
- カメラの交換(USB→本体直結)、M.2規格Wi-Fiモジュールの追加などにより本体の性能を向上させることができ、より高速な走行を可能とするための学習などに取り組むことが可能になります。
- AI応用の勘所を体験可能
- USBカメラが可動式になっており、得られた画像の違いによる認識精度の変化などを実体験することでAI応用の勘所をつかむことができます。
- ものづくりマインド醸成
- 普段あまり触れる機会のない産業用3Dプリント部材を採用しており、最新のデジタルものづくりを知る題材としてもご利用いただけます。
AI学習キットの採用状況
学校法人岩崎学園 情報科学専門学校(横浜市神奈川区)2019年度後学期(9月開始)において、AI学習コースの教材として採用されました。既に授業は開始されており、これまであまり「ものづくり」に触れてこなかった受講者でも簡単に組み立てられることを実証しました。同校では今後も「オリジナルJetbot」をAI教育の中心的な教材に据え、次年度以降も更なる活用を図られることとなっております。
AI学習キット開発における協業
本製品は国内最大級の技術者コミュニティ「IoT ALGYAN」との協業により開発したもので、株式会社テクモード(東京都台東区)から「ALGYAN Jetbot AI学習キット」として販売されます。IoT ALGYANでは今後、本製品を用いた技術者向けハンズオンを全国展開する予定です。
3Dプリントについては国内中堅の3Dプリンタメーカー 株式会社アスペクト(東京都稲城市)の協力のもと、同社の産業用3Dプリンタ「RaFaEl」を使用して開発しました。粉末床溶融結合方式を採用した同社製品は、3Dプリントの特徴である形状の自由度を保ちつつ、高い造形精度と世界最高レベルの生産性を有しております。これにより、細かい部品どうしの組み立てが必要な「オリジナルJetbot」のシャーシを大量かつ安価に製造することが可能となりました。
販売について
「オリジナルJetbot」は当面の間、教育機関向け製品として株式会社テクモードから販売いたします。一般向けの販売については準備が整い次第、本サイト他にてご案内いたします。
今後の展開について
グリーンノートでは、岩崎学園 情報科学専門学校を始めとする教育機関、IoT ALGYANを始めとする技術者コミュニティに向け、今後も積極的にAI/IoT教材を提供してまいります。ご興味を持たれましたら下記の問い合わせ先までご連絡ください。
また、既に実施しておりますAI/IoT分野での事業拡大を図る企業様への支援活動も、これまでと同様積極的に実施してまいります。協業を希望される企業の方はお問い合わせフォームからご連絡ください。
問い合わせ先
製品について/AI、IoT領域での協業について
株式会社テクモード ALGYANオリジナルJetbot公式ウェブサイト
3Dプリンタ「RaFaEl」および粉末床溶融結合方式について
株式会社アスペクト お問い合わせメール